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2012年6月1日金曜日

ボクが病院に行かなくなった理由 網膜色素変性症を患って


10年ぶりに眼科に通っていますが、普段は普通に生活しているし、自分の病気と付き合っていく覚悟はできているんですが、病院に行くとやるせない気持ちになるんですね。その気持ちをブログに書いてみようかなと思っています。

ボクは 網膜色素変性 という診断をされています。それは、もう15年ほど前のことになります。その病気は遺伝性の眼の病気で、原因や治療方法もよくわかっていない難病です。母親の家系にその病気が多く、ボクの母親も網膜色素変性で、障害者指定を受けています。

視力が悪くてメガネをかけたりするのは、眼のレンズの部分の問題ですが、この病気はカメラで言うとフィルムに当たる部分の網膜の病気で、だんだんフィルムの感度が悪くなっていくというイメージです。場合によっては失明に至るケースもあるそうです。

病状や進行に関しても様々らしく、ボクの場合は杆体細胞よりも、錐体細胞が変性していることから、典型的な網膜色素変性ではなく、錐体ジストロフィー(先天性黄斑変性症)なのかもしれないとも言われています。

視細胞は2種類あって。錐体(すいたい)細胞と杆体(かんたい)細胞です。
錐体は色や形(文字など)を認識する細胞で、網膜中心部(黄斑部)に集中して存在しています。色覚と形態覚を担当する細胞で明るい場所で働きます。
杆体は明るさを感じる細胞(光覚担当細胞)で、網膜の全体に分布していますが、中心部には少ないく、わずかな光でも感じる能力があり、暗い場所で働きます。

錐体ジストロフィーという病気は視細胞のうち特に錐体が障害を受ける病気で、網膜色素変性は杆体が障害を受けるそうです。

網膜色素変性も、錐体ジストロフィーも、いずれにしても、網膜にある視細胞が変性していって、視野が狭くなったり、暗点ができて視力が低下したりする病気で、治療方法がない、現時点では治る見込みがない病気であることにかわりがありません。

病気の進行の早さは様々らしいですが、一般的には年単位の悪化は確認しにくいくらいゆっくり進行していくので、年に一度くらい検査をすることを勧められます。
ボクも物心ついた頃から、年に一度母親に眼科に連れて行かれ検査を受けるということを長年続けていて、30歳のときに、「あなたもお母さんと同じ病気です」 と診断をされたんですね。
もちろんショックではあったけれど、ボク自身は母親や親戚のことも見て、どんな病気かは知っていたし、自分もこの病気と上手に付き合って行かないといけないんだなっていう気持ちの切り替えはすぐにできたと思うんです。

だけど、病院に行って検査を受けるたびに疑問に思うことがあって。

ボクが病院をあまり好きじゃないってこともあるんだけど、検査を受けるのって、それ自体がツライんですよね。仕事だって休まないといけないし、他の人にも迷惑がかかったりするし、だけど医者が来いと言うのだから仕方ないって思って、検査を続けていましたが。。

病院では検査しかしないんです。治療はしないんですよ。

一体なんのための検査なの?
検査を受けたからと言って、どうにもならないじゃんって
そういう気持ちになるのです。

検査をしてもそれがどんな検査なのか、わかり易く説明をしてくれるわけでもないし、患者としてイチバン知りたいことって、何か良くなる方法はあるのか、良くならないまでも進行を遅らせるにはどんなことをしたらいいとか、日常生活でこんな工夫をしたらこの病気と上手に付き合っていけるとか、そういったなにか自分のためになる情報がほしいんだけど、なにもないんですよね。
せめて、つらい思いして検査されたデータが病気の原因究明のために役だっているという話でもあれば納得できるんだけど、そういうわけでもないし、効果があるんだかどうかもよくわからない薬を処方されるし。これっていったいなに? 病院の利益のため? 医者のモルモットにされてるの?

そういう気持ちになってしまうんですよね。
納得がいく説明がないから。

で、ちょうどそのころ、約10年前ですが、神奈川から大阪に引越しをしたこともあって、以来病院に行って検査を受けるということはやめていたんです。


その間も病気はゆっくり進行していたとは思います。

日常生活の中で不自由に感じることもあります。

これは、普通に見えている人に説明するのが難しいんですが、普通の視力検査をしてもそれなりに見えるんです。メガネをかけたら視力だって自動車免許の更新が出来る程度はあるんです。

でも、視界の中に暗点(盲点)があちこちにあって、見えていない部分がけっこうあるんです。暗点といっても、視界の中に黒く抜けている部分があるわけではないんですよ。見えているように思えていても、実は見えていない部分ってのが暗点というのですが、だからうっかり見落としってのが多いんです。

例えばデスクの上にコップがあっても、普通の眼の人なら絶対に見えるところにあっても、ボクの眼では角度によってコップが完全に消えて見えなかったりする。
そういう暗点があちこちにあって、だからパソコンの画面を見ていても、マウスポインタをよく見失って探すのに苦労したり、TVでサッカー中継を見ていてもボールが見えなかったり、多分いわゆる動体視力って極端に悪いと思います。ゴルフをしてもボールは絶対見えないし、キャッチボールはもう何年も前からできなくなっているし。道を歩いていても路面の障害物に気が付かなかったりします。
だから運転免許は更新できても、車もバイクも、最近では自転車の運転も自粛しています。そこに人がいることを見落としてしまうことが多いからです。

映画は好きなんですが、映画館は苦手です。明るいところから暗いところに入ると、目が慣れるまで普通の人より長く時間がかかるし、逆に明るいところに急に出ると眩しくてしばらくものがよく見えなかったりします。

色の判別もイマイチのようで、特に青と緑の区別がつきづらいようです。以前の仕事では抵抗のカラーコードを読んだりしていましたが、今ではたぶん読めないでしょう。

そういったボクの目の症状が、この10年でだいぶ進んだとは思うんですが、ゆっくりゆっくり進行するから、昨日に比べて今日いきなり見えないとか、そういったことではないので、自分でも変化に気が付きにくいんですね。自分ではけっこう普通に見えているつもりでいるんです。家内と話しをしたりすると、人はそんなふうに見えているんだァ、自分の目はやっぱ悪いんだなぁって気が付かされたりするくらいで。
医者に、「中心部が見えにくいでしょ」 とか聞かれても困るんですよね。自分ではこれが普通って思ってしまっているから・・・

そんな目の状態だから、あえて病院に通わなきゃと思いにくかったりするんです。

でも、10年ぶりに眼科に行ってみた理由は、ここのところ、眼精疲労の眼の痛みを頻繁に感じるようになっていて、暗点も急に増えてきているかなぁって感じるようになっていて。
もしかしたら、網膜剥離とか、白内障や緑内障といった、別の病気を併発しているなら困るなって思ったからなんですね。

結果としては、そういった別の病気の併発はないようでよかったですが。

大阪に越してきて初めて診てもらう病院なので、あれやこれやと検査を受けているところなんですが、なんだかねぇ・・
10年経ったから、医学だって進歩しているだろうし、もしかしたらボクの眼にとって役に立つ情報でも得られるかな、という期待もあったんですが、あんまりそうでもないようですね。
視力検査と眼圧検査から始まって、眼底検査、視野検査、たぶん10年で検査機器は進歩したのでしょう。以前はやったことのない検査もあります。網膜の電位差を調べるとかで顔に電極付けられたり、電極がついたコンタクトいれられたり、眼底の断層を調べる検査とか、次回は蛍光眼底撮影ってのをするとかで、造影剤を入れるから同意書を書いて欲しいと言われたけど・・

検査をしても何も言ってくれないんじゃないの?
と思ってしまうんですよね。

実際に今のところ、こちらから聞かないと、いま視力がどれくらいなのかってことすら教えてもらえない。若い男の先生だけど、そういえば先生の前に行くときはいつも散瞳の状態だから、先生の顔すらわからないし、これはなんのための検査で、それぞれの検査でどういうことがわかったってことは話してもらえていないです。

それをして何の役に立つの?
そう思う気持ちは10年前とあまり変わっていないですねぇ。

言ってもらえることは
治療方法がないということ。(それは知ってるって)
眩しかったらサングラスをして。(いつもやってるって)
そんなことぐらいだし・・

なのに、なんのためかもわからない検査のための同意書が必要とか言われてもねぇ。
またバックれちゃおうかなって、ものすごくそういう気持ちになっています。



ちょっとネガティブなポストなので、このブログに書くのはどうしようかなって迷ったんですが、でも書いてみて少し気持ちがすっきりしたかな。。

ボクの他にも患者さんがたくさんいて、眼科っておじいちゃんおばあちゃんがたくさん来ているし、自分が時間をとってしまって他の人を待たせるのは申し訳ないと思ってしまうこともあるので、次回行ったら先生に、説明の時間をとってほしいとお願いしてみよう。一人だと心細いから、家内を連れて行って、家内にもわかるように説明をして欲しいとお願いしてみよう。

それで納得がいかなかったら、もう病院に行くのはやめよう。

そうだ、そうしよう。

4 件のコメント:

inoue sinji さんのコメント...

ブログ拝見させてもらいました
自分も同じ錐体ジストロフィーと診断されています
自分の場合左目はほぼ何も見えません
右目も0.1以下になりコンタクト無しでわ外もあるけません
ですが病院の先生わ懸命に治そうとしてくれています
自分はまだ23歳なので先生がなんとかしてあげたいといってくれました
いい先生にめぐり会えば病院もまだがんばれます
まだ希望をすてないでください
おねがいします

匿名 さんのコメント...

初めまして。私も網膜色素変性症です。私も同じような気持ちで10年以上病院には行きませんでした。その当時眼科の事務の方が「視野が狭いとかでは手帳はもらえません」と、間違った情報を私に伝えたため(視野1/2欠損から手帳は貰えます)視野は狭いものの視力だけは良い私は、よっぽど見えなくなった時に手帳の申請で行くまで病院に行く必要もない。
と、行きませんでしたが、つい先日視野欠損でも手帳や障害年金が出ると聞き、手続きのために病院へ行きました。

手帳は、「今現在」の診断書があれば良いのですが、問題は障害年金です。
初診日と言って一番最初にこの病気が分かった時の診断書や、それから一年半後の診断書、など通院をやめてしまったので、廃棄されてそろえることができませんでした。

本来であれば、5年前まで遡って請求する事が出来たのですが、通院していなかった為証拠となるカルテがなくて、請求できませんでした。
(請求できていれば、500万円は下りました)

1年に1回でも良いから、きちんと行っておけば良かったと、後悔しています。

行っても「悪くなっている事を確認しに行くだけ」だし、事、眼科の先生はドライな方が多いようなので(命に係わる病気ではないうえ、治らないので余計なのかな)病院は行くだけ精神削られますが…。

余計なお世話ですが、今後のために是非、1年に1度くらいは行っておいて下さい。

匿名 さんのコメント...

初めまして。私も網膜色素変性症です。
私も病院に行く間隔があきました。理由は当時仕事していたため、診察日に休みを取るのがおっくうなこと。(以前通っていたところは半年に1回の診断でした。)あとは皆さんと同じで、視力判定、瞳孔を開く目薬を使って眩しい思いをして、定期検診を受けても医者さんの「進行ないですね」という同じ回答で、何も解決しないのに嫌気がさしたから。
ふと気づくと、夜、街灯のない道が全く見えなくなっていたり、物を落としても見えなかったりが以前よりもひどくなっているのに進行なしいわれるのが正直しんどかった。
ただ、見てもらう大学病院を変えたら、接され方が変わったので、年一だし、行こうかなとなりました。検査の時に足元気を付けてください。とか、現状だと○級の申請ですね、とか、聞いたことに ないです。でバッサリではなくわかる範囲で答えていただいているのがストレスの軽減になっているのかもしれません。
主さんの気持ちもわかるけど、お互い年一行事だた思って頑張りましょうね。

匿名 さんのコメント...

私もです。18で、免許取った数日後に、ccpメガネすすられて、30過ぎて久々に眼科に眼精疲労で、受診。そこで直ぐに手帳出せるよ。って先生に言われましたが、車が無いと生活出来ない田舎に嫁いでいたので、断り10年程乗ってますが、ここ数年見落としがひどく運転が怖い。極力乗りませんが旦那は、乗らないと下手になるよ~って。簡単に言うけど私の心は、運転=恐怖ってことを理解してもらうのは難しいです。先日の人間ドックでは、眼科受診を進められました。次は素直に認定受けるつもりです。不便ですが恐怖心で乗り続けても何かあってからでは、って思う事にします。ただ、後何年この目が見えるのか?左目は、頑張って0.2、右目0.5矯正しても少しだけ上がるぐらい。左目は、どんなに近くてもハッキリ見えてません。フィルターがかかった状態。色も識別し辛くなっています。右目で何とか補っているので不安です。

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